電子レンジ

京都在住。MUSICAライターになれなかった男が創作したりレビューを書いたり

太陽4号/10-FEET

過去に向けて問うのはでなく、未来に望むのでもなく、ただ「今」を歌う。

例えば、苦手だったお酒がささやかな安らぎに変わり始めているその頃の、始まりの、ほんの数十秒。頭からため息から滲み出た、名前のつけがたい感情。その感情に名前をつけるとすれば‥難しい。それぞれの置かれている状況や位置によって呼び方も変わってくるものだろう。ただ、過去を懐かしむことでも、未来を憂うものでもなく、その中間に位置し、吐き出される「今」だから単純に名前にも変えられないのだろうと思う。

太陽が昇り、そしてまた沈むようなテンポで、語られるように歌い上げられるこの曲も、たった今流れていく「今」と、苦しいくらいに向き合って、見たくない自分の位置を確かめて、ありのままの「今」を歌っているように思える。それがただただ、心苦しく何とも言えない感情を感じてしまう。それも自分と向き合えていないということだろうか。

僕らを太陽に例えた場合、今どの辺りだろう。見上げれば煌々と輝く太陽だろうか、夕焼けに近づく太陽だろうか、沈んで明日を新たな明日に向かっている太陽だろうな。いずれにせよ、誰かに言ってほしいし、自分に言い聞かせたい。間違ってない。と。