電子レンジ

京都在住。MUSICAライターになれなかった男が創作したりレビューを書いたり

線香花火/ガガガSP

線香花火という曲がある。ガガガSPの代表曲のひとつだ。

線香花火の消えゆく様と夏の終わりを重ね、終わりを経験することにより、誰も止めることの出来ないオトナへの道を進み、振り返り、通り過ぎてきたいつかの夏を思う。そんな曲だ。

個人的にたまに口ずさんでみたりする好きな曲である。そんな歌詞やメロディもあるけど、僕はあの曲から感じることのできる、生々しさ、例えば湿っぽい夏の暑さを原付バイクで乾かして、信号待ちで足に絡んだ蚊を追い払いながら、吹き出した汗をまた乾かすように走る。そんなジメっとした、時に砂っぽい夕方を思い出してしまうのだ。

地元から少し離れた公園の隅で浴衣姿の彼女と線香花火をする。二人で火が落ちるのを共に見守ることで大切な想い出に。立ち上がる瞬間に初めて手を繋いで帰り道を歩く。これから作りあげていく無限大の想い出。100万枚撮りのフィルムでも撮りきれないほどの想い出。そんなことはなく、フィルムも余りまくるわけだ。

個人的な問題は置いておくにしても、線香花火という曲が思い起こさせるイメージはどちらかというと、甘酸っぱい想い出よりも、花火を持って河原に走ったり、余りまくるフィルムの使い道に思い馳せていた、そんな男臭い想い出を振り返る時に聴いてほしい曲である。